大規模科学技術計算に向けた行列近似手法の研究

最近の研究課題

  • 大規模連立一次方程式に対する数値計算法
  • クリロフ部分空間法の前処理を研究しています。 代数的多段格子法(AMG法),不完全分解法(IC分解,ILU分解)などを扱っています。 直接法(マルチフロンタル法)は共同研究で取り組んでいます。
  • 数値線形代数への低ランク行列近似の応用
  • 科学技術計算に現れる密行列を低ランク行列近似して,計算効率を高める研究です。
  • HACApKライブラリの開発
  • 境界要素法(積分方程式法)を高速化するための、ライブラリを作成・公開しています。 HACApKライブラリは境界用法フレームワークppOpen-APPL/BEMの中に含まれています。 下のppOpenプロジェクトのWebページからダウンロードできます。
    http://ppopenhpc.cc.u-tokyo.ac.jp/ppopenhpc/2015/11/12/ppopen-applbem-ver-0-4-0/

もう少し大局的に

科学技術計算において、線形微積分方程式は現象を記述する支配方程式として広く利用されている. 解析領域の形状や境界条件が複雑な場合は言うに及ばず、 そうでない場合でも、線形微積分方程式を解析的に計算することは一般に困難であり, その計算には数値解析が多く用いられる。 その際、重み付き残差法などを用いて方程式を離散化することにより、 線形微積分方程式は連立一次方程式へと変換される。連立一次方程式の方程式数をNとすると、 係数行列がいわゆる疎行列であれば、疎行列を格納するために必要なメモリ容量はO(N)でしかない。 しかし、疎行列のLU分解・QR分解・逆行列などを考えると、行列の疎な構造は失われ密行列となり得る。 また、離散化される方程式が積分作用素を含む場合には、 離散化された連立一次方程式の係数行列自体が密行列である。
このように、密行列は科学技術計算において頻繁に現われ有用であるが、 O(N^2)のメモリ容量とO(N^2 )以上の計算量が必要となる。大規模な解析を行うためには、これら要求が大きな障壁である. 科学技術計算で扱われる密行列またはその部分行列に対して適当な近似を行うことにより、 シミュレーションの実行に必要なメモリ容量と計算量をO(N)~O(N log N)程度に軽減する研究を行っている。 とりわけ、密行列を概念上の存在に留めて実際に計算することを避け、 疎行列や微積分方程式から直接、必要な近似行列を構築する手法に注目している(図参照)。 また、近年の大型計算機の現状を鑑み、開発するアルゴリズムとその実装法については、並列計算機の活用を念頭に置いている。

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